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めくるめく季節は過ぎて、記録的猛暑の夏はとっくに消え去り、気がつけば日中最高気温が10度をきっていたりする。冬物のコートを引っ張り出し大判のパシュミナを首にぐるぐる巻きにして、慌しく家を出る。今までのところ私の思う、秋らしい気持ちの良い天気だった日は片手で数えられるくらいだ。雨が降っていなくても、分厚い雲が重苦しくのしかかり、何とも寂しい。これがパリの秋の様子だっただろうか?
3回目のパリの秋は切に京都の美しい秋晴れを恋しがらせる。

世界中のメディアでこの夏のヨーロッパの記録的猛暑が伝えられていたその時、私はフランスアルプスにいた。友人の母堂が主宰されている音楽フェスティヴァルで歌うためだ。

この音楽フェスティヴァルという大小数限りなく存在する主に夏期の催しのおかげで、私はずいぶんフランスのいろんな地方を訪れさせてもらっている。シャンパーニュ地方(モチロン空き時間でシャンパンカーブの見学ツアーに独自参加、試飲のおまけ付)のランス、ノルマンディー地方のルーアン・ドーヴィル、ワインの美味しいコート・デュ・ローヌ地方、古城で有名なロワール地方、ドイツの趣を感じさせるアルザス地方、独自の文化のバスク地方、水の美味しいオーヴェルニュ地方。。。そして今回のアルプ地方。

このアルプ地方はパリからTGV(フランスの最速列車)で約6時間、スイスとイタリアに国境を接するところ。山好きの私にとっては感激の地。途中アヌシーという町で乗り換えをして、いよいよシャモニー行きローカル電車はゆっくり進む。スキーのメッカ、サン・ジェルヴェという町で下車、そこからまた車で30分ほど山を行く。

友人のシャレー(山荘)は町向かいの山の中腹にぽつんとあった。目の前に羊や牛が放牧されていたならば、まさにハイジの世界?!という景色。何たる開放感!! そして青草の香りの混じる、まだ出来立ての空気をいっぱいに吸う。「ああ、大自然ばんざ〜い!」

しかし、密かに健脚を誇るこのワタシも毎日練習場である教会(町は向かいの山の中腹!)まで小1時間の山道を普通のスニーカーで行くのには少々こたえた。更に、たとえアルプスといえども猛暑は猛暑。さすがに夜は快適??に家ネズミの大運動会をBGMに寝られるものの、日中の日差しときたらこの澄み切った空気を痛いほどまっすぐ突っ切ってくる。。。。アレヨという間にアルプスでの1週間も過ぎ、キャロルの祭典、ブラームスetc.の女声重唱曲コンサートも無事終わり、とっととパリに帰ったのが間違いであった。それから日本に一時帰国するまでの5日間、うちわ片手に眠れぬ夜を過ごしたのは言うまでもない。。。。

さて、私がフランスに留学して今日でまる2年3ヶ月。当初の予定だった2年間は嵐のように過ぎ去り、今は予期しなかった3年目に突入している。

私は京芸大の大学院を卒業してから、びわこホールの声楽アンサンブルに2年間所属していたわけだが、びわこを離れるときに痛切に感じたことがあった。
“面白くなってきたのに。。。” 
ホップの1年目があって、ステップの2年目があって、ジャンプの3年目がなかった。その時はいろんなタイミングが揃ったので旅立つことにしたのだが、実は複雑な気持ちだった。

石の上にも三年、を実行してみようと思う。フランスに来た事は私にとってとても大きい変化をもたらした。ここで吸収できるものが沢山残っていて、もう少し持てる範囲でトランクを増やしてみようと思う。やっとフランス語が少しマシになってきて、素敵な先生、友人も出来てきたところ。大変な事のほうがまだまだ多いけど、何かしらジャンプの年になるように。。。。

                          Paris, le 23 10 2003

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