■『 乾杯の歌』
第1幕 第2景 (アレグレット、変ロ長調、3/8拍子)
前奏曲に続いて第一幕の幕が上ると、高級娼婦として社交界で最も注目を集めているヴィオレッタの客間が現れ、華やかなパーティーが行われています。客人たちの短い合唱のあと、ガストーヌ子爵が友人アルフレッド・ジェルモンを連れて登場します。
子爵は、アルフレッドを紹介しながら、彼がヴィオレッタに恋心を抱いていることを告げます。そして彼女に促されて彼は、有名な「乾杯の歌」を歌います。その歌に一同も加わり、ヴィオレッタもそれに答えるかのように青春の愛を讃えて歌います。
■『まあ、青い顔』
第1幕 第3景(アンダンティーノ、ヘ長調、3/8拍子)
心臓発作で倒れたヴィオレッタが小康を保っているときに、彼女を心配して佇んでいるアルフレードに彼女は気づき、彼のヴィオレッタへの一年にも及ぶ純粋な愛を知ることになります。この一途で穢れない彼の愛に触れ、彼女自身の内に何か新しい変化が起こることを感じ取ります。ひたすら秘めてきた彼の想いに、自らの高級娼婦という現実とその愛に応じようとする心情との葛藤の中で、ついには真に愛されることの歓喜に二人は身をゆだね、晴れやかで華麗な声のアンサンブルを奏でるのです。
■『ああ、そはかの人か〜花から花へ』
第1幕 第5景(アンダンティーノ-アレグレット-アレグレット・ブリランテ、ヘ短調-ヘ長調-変イ長調、3/8拍子-6/8拍子)
アレグレットのレチタティーヴォでヴィオレッタがアルフレードの純粋な想いに、それまでの彼女の生活とは異なった不思議な愛の予感が語られます。その後有名な彼女のアリアがアンダンティーノで続きます。ここで「なぜか妙に( stano、 stano)」いう言葉は、最後の死を迎える場面にも語られる言葉です。高級娼婦として男性との関係を考えていた彼女が、初めて心ときめく真の愛に戸惑う心境が歌われます。そして、これに続くカバレッタ「花から花へ」では、この愛に心奪われていく自らを否定するように、快楽に身を委ねる生活の放埓さを歌い上げるのです。しかし、この彼女の自己否定は、その後の悲劇的な運命をはかなくも物悲しく予感させるのです。旋律は明るく華やかであるにも関わらず、空しい夢の世界に生きなければならない彼女の生活を哀しくも伝えているのです。
■『燃える心を』
第2幕 第1景(アンダンテ、変ホ長調、3/4拍子)
「一人きりでは面白くない」というレチタティーヴォで、ヴィオレッタから離れて一人過ごす空しい日々をアルフレードが語ります。そして、生気を取り戻した彼女と二人で田舎暮らしをする日々を夢見て、彼女への燃えるような愛の想いを歌います。伴奏の独特のリズムが彼の切々たる思いとそれによる鼓動を感じさせます。
■『パリを離れて』
第3幕 第5場(アンダンテ・モッソ、変イ長調、3/8拍子)
ヴィオレッタの愛に疑いを抱き遠ざかっていたアルフレードは、彼女の真実の想いを知り、彼女に許しを乞うために、瀕死の彼女を訪れるます。二人の愛の絆が強く結ばれていることを喜び、二重唱でこの歌を歌います。そして、二人は将来の幸せな世界を夢想し、それに力づけられてヴィオレッタは、ベットから起き上がり、唯一の彼女の夢である彼との結婚を求めるのです。
この後彼女は、夢見るかのごとく結婚のイメージの世界に入り込み、いじらしくも切ない愛の夢の中に倒れ臥すのです。音楽は彼女の途切れ途切れの、心から振り絞るような声は、アルフレードの絶えがたく重い悔悟の念と交錯して、美しくも哀しい出来事を描き出しているのです。