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■田中さんはヨーロッパ帰りですね
今回はウィーンへ。イタリアの友人の元に遊びにも行きましたが、ウィーンでは丸3ヶ月、じっくり居てたくさんのものを見聞きしてきました。もともと何をするのも怖がりなほうで、人の盛り立て無しには何も出来ない性質でしたが、ちょっと吹っ切れた感じがします。無茶苦茶やっても怖くなくなったことが収穫かも。
■これまでの履歴を伺っていいですか
相愛大学の声楽を卒業後、私立の中学、高校に講師として10年勤めました。並行して歌のレッスンもやっていたので、当時は昼の3時まで授業、その後に子供のレッスン、そしてオペラの練習、という分刻みの生活。ハードワークだったこともあり、一番やっていきたい歌と密接なところだけ残し、歌のレッスンに絞りました。今は週に二日、13〜14人ほどの人に個人レッスンをしています。小学六年生から還暦後の方まで幅広い生徒さんです
■女声アンサンブル「レゾナンス」でもご活躍されています
5人とピアニスト、或いは5人とアコーディオンといった組み合わせで演奏します。年に何回かのリサイタルが有ります。毎週月曜の午前中にはちゃんと練習しているんですよ。ジャンルを問わず歌います。レゾナンスメンバーでVOC会員でもある今井さんがマルチな方なので、ダンス、お喋りなど何でもありでやっています。聴いて下さった方からも、「上手ねぇ、キレイねぇ」ではなく、「楽しかった」と言って戴きたいんです。だから私自身が、そういうステージを発信できる器になりたいと思っています。
■今後のビジョンを少し聞かせて下さいますか
ウィーンで新しい事をたくさん見聞きしてきたので今はそれを整理中です。関西でクラッシックをやることは需給バランスの点では難しい面もあるのですが、それについても今、冒険を試み中です。少しでも長く歌っていければいいと思っています。いい茶飲み友達がいて、歌いながら死んでいけたら幸せかも。
■いつ頃からコロラトゥーラなのですか
7、8年前からです。技巧と声質が役を選ぶので、感情の普通でない役が回ってきます。コロラトゥーラに至るまでの何年かは、「アマールと夜の訪問者」アマール、「ヘンゼルとグレーテル」グレーテル役など子役ばかりしていました。昔は“子役職人”と言われたくらい。その当時に大森先生が「多分コロラトゥーラだからやってみろ」と一生懸命レッスンして下さり、そうしたらなってしまった。
コロラトゥーラは基本的には凄く好きですが、メンタルな部分ではどうでしょうか。主役の責任も多く、他との関わりが少ない割に扱いが大層で、楽屋も個室を与えられたりしますし、主役だと待遇やギャラも当然違ってきます。でもオペラを作っていくうえでは、子役などは全体と一緒噛みでやっていく楽しさがありますね。
■今回の役について
ウィーンへ行っている間にお話を戴いたので、ウィーンで楽譜を探しました。古い時代の楽譜なので単調にならないよう、声を転がしたり、アドリブもやってみようと思っています。また、音の高低が少しあるだけで、音の長さを無視していい部分(セッコという)があるんですが、そのセッコでのやりとりは、流れによって偶発性が伴うので、楽しみにしている部分です。
■アモールについてのイメージは
私についていて欲しいくらいの役回り。アモールは色々なオペラに出てきます。恋仲な二人をくっつけてあげますが、時に試練を与えたり、その後どうするかを眺めている、愛情もあるけれど悪戯な愛の女神です。問題提起しますが無責任なところもある。でも最後には解決してあげる事が前提ですが。
私自身はそんな立場になったことはないのでよく分からないのですが、優しく二人を包んで全面的に愛情を与えるだけのアモールではなくて、「人間というのは欲も徳も持っているが最後は愛だ!」というようなアモール。愛情とは、人間の根本的部分ですが一番汚い部分でもあるので、一般的な女神さまにある、綺麗なイメージだけを受け取られることがないように歌いたいですね。また、ウィーン帰りにウィーン初演版をやれるというのは感謝ですし、思い出になる気がします。
■VOCの演奏会について
いつも未知なことが多いのがVOC。今回のように出演者が少ないのもいいですが、声域、ジャンルどれを取ってもバラエティに富んだ会員達によって構成されているVOCですので、ジャンルも入り乱れつつしかも構成が出来上がっている企画が実現すれば楽しいと思います。第一回のモーツァルト演奏会では音楽家会員とサポート会員との懇親会を事前にやりたかったのが本音です。役の大きさは違っても、一つ板の上に立てば皆同じく出演者。そういう意味では合唱される方も出演者であり、同じ出演者としての懇親を持ちたいですね。また、そういう交わりがVOCでは出来る筈だと思っています。
■大森先生へ一言
一番いいキャラクターを見つけて下さったので、今こうやって歌っていけていると思っています。恩人ですね。たとえばコロラトゥーラに至るまでは、大森先生に教えて貰っている時には出来ても、家に帰ってやってみると出来ない時期が5〜6年続きました。その間、長期的計画と先見の目でもってずっと見守って下さった方です。すぐ引き出す力もありますが、長いスタンスで見守って下さいました。褒め上手、持ち上げ上手、ただしプレッシャーもかけて下さる。いつでも刺激を与え、今の状態に満足しないよう、課題も与えて下さるので、仕事とバランスをとりながら、大森さんにもしっかりついていかないといけないな、と思っています。(褒め過ぎかな)
■最後に、会員の皆さんなら誰でも気になるのが健康管理について、田中さんの方法を教えて下さい
それが風邪はめったにひかないし、咽喉を壊すことも無いんです。食べ物も特には。ただしウィーンでは、ルッコラに熱く炒めたベーコンをその油ごとかけて食べるのにハマりました。お勧めですよ!
田中希美 Tanaka Nozomi Coloratura Soprano
相愛大学音楽学部声楽専攻卒業、同大学研究科修了
和歌山音楽コンクール第2位。飯塚新人音楽コンクール入賞。各種コンサート・宗教曲・合唱曲のソプラノソリストとして活躍。
オペラでは「セルセ」ロミルダ、「魔笛」童子1・夜の女王、「ヘンゼルとグレーテル」グレーテル、「あまんじゃくとうりこ姫」うりこ姫、「アマールと夜の訪問者」アマール、「泥棒とオールドミス」レティーシャ、「炭焼姫」炭焼姫など。アマール、グレーテル、夜の女王役に於いては、好演を認められ、多くのプロダクションに招かれ再演を重ねている。
1996年ケムニッツ歌劇場より招聘され「魔笛」夜の女王でドイツデビュー。
又、近年では関西を中心として、オペラ・コンサートで活躍している仲間と女声アンサンブルグループ「レゾナンス」を結成し、ジャンルを超えた音楽と、お話・ダンスで目でも耳でも楽しめる音楽を目指し、広く活動している。
関西二期会、堺シティオペラ会員。
荘田作、(故)柴田陸睦、大森地塩 各氏に師事